みなさんは「ポールダンス」と聞くとどんなことを想像しますか?
女性がやっていて、エロいもの。
そんなイメージを持っている人もきっと多いですよね。
では、男性がポールダンスをやっていると聞くと、どうでしょう?
きっと多くの人が、「ゲイ」や「男の性的サービス」を思い浮かべるのではないでしょうか。
未だに偏見が強く、アングラ感が漂っているポールダンス界。
そんなポールダンス界に流星の如く現れた、メンズポールダンサー・CIMA(シーマ)さん。
女性ダンサーに比べてまだまだ人口が低いメンズポールダンサー。
その中でパフォーマーとして挑戦し続けるCIMAさんの姿を、ナナミルでは全3回にわたってお届けします。
第1回目の今回は、ポールダンスとの出会い・エンタメとしての挑戦について語っていただきました。
ブレイクダンサーからメンズポールダンサーへ
【CIMA(シーマ)】
1993年4月7日生まれ。大阪出身。
16歳からブレイクダンスを始め、20歳まで多くの大会で実績を残す。25歳の時ポールダンスと出会い、ポールダンサーへと転身。
ポールダンスを始めて半年で、日本ポールスポーツ選手権大会アマチュアカテゴリ3位入賞。
大阪・北新地や東京・六本木のショーパブで働きながら、メンズポールダンスの常識を変えるべく活動中。Twitter:@cmcm4747
2018年の10月に大阪・味園ユニバースであったファープレーンナイトです。
後々通うことになるポールダンススタジオの先生たちがショーをしていて、それがメンズポールを見るきっかけでした。
そのショーを見て、「あっ」って直感が働いたんですよ。
ポールダンスこそが、まさに自分が考えているモノだなって確信したんです。
ブレイクダンスをやるきっかけは何だったんですか?
「男がポールダンスをやるなんて」と偏見の目で見られませんでした?
元々、僕のビジュアルってブレイクダンサーっぽく無かったんですよね(笑)
だからだと思うんですけど、「そっちの方が似合うよね」って言われました。
確かに、偏見を持った人もいるかもしれません。
でも、僕が「やりたいと思ったら実行する」って性格なのを周りは知っていたので、「あ、今度はそれをやるのね」って感じでした。
批判的なことは言われませんでしたね。
上手いやん5年前の自分 pic.twitter.com/mwBa2IALnk
— ???CIMA???SOL?DAMIA (@cmcm4747) June 9, 2020
僕が思っているのは、ブレイクダンスって「こうじゃなきゃいけない」って型みたいなものがあるんですよね。
「ブレイクダンサーはこうじゃなきゃ」ってルールが結構あって。服装もこうしたほうがいいよ、とか。
でもポールダンスは、自分の好きなことを好きなように表現して、それが認められる世界ですね。
ポールダンサーとして新しい「エンタメ」に挑戦
従来ポールダンスのショーと言えば、ステージがあり、お客さんはフロアから眺めているスタイルが定番でした。
しかしCIMAさんのショーは、お客さんを巻き込む「一体型」の構成です。
今年2月に出演したファープレーンナイトでのショーも、ステージだけでなく客席フロアにもポールを設置し、ステージをフロアを存分に使ったショーを見せてくれました。
コロナ禍前の今年2月に行われたファープレーンナイトでの1コマ。
ステージに立ったのは男性ポールダンスユニット「メタトロンキューブ」
そのメンバーであるCIMAくん(@cmcm4747)へのインタビューを、今夜から全3回にわたってナナミル(https://t.co/eWlPOPHVhB)でお届けします。 pic.twitter.com/m0rRs1HbiA
— 倉本菜生|編集ライター (@0ElectricSheep0) August 6, 2020
今までのショーや舞台って、演者とお客様の間に距離感があったんですよね。
昔はショーやエンタメ自体が珍しかったから、距離感があってもそれでよかった。
でも、今ではみんなショーや舞台を見る機会が多くなりました。
正直、お客様のエンタメ慣れを凄く感じています。
僕自身、ポールやブレイクダンス以外にも大衆演劇や舞台とか見に行くんですよ。
いろんなジャンルのエンタメを総合的に見た時に、「お客様参加型」が今のトレンドだなって思いました。
正面舞台だけじゃなくて、客席の階にも特設ステージがあって、それぞれのステージで話が同時に進むんです。だから、自分がどこに座るかで見られるシーンが違うんですね。
エンディングもマルチエンディング形式を取っていて、ゲーム性があったんです。
座る場所や上演回によって見られるシーン・エンディングが違うから、お客さんは何回見ても楽しい。
1回で満足させない舞台って革新的だなって思ったし、自分がエンタメ慣れしていたと実感しました(笑)
「サクラヒメ」でやっていたことをポールのショーに置き換えると、どんなことができるだろうって考えましたね。それで、お客様側にポールを置いて、より距離が近いところで見られるようにしました。
「お客様と一緒に作り上げる、お客様が一緒に参加する」
これが今後のエンタメのトレンドになっていくと思います。
老若男女問わず
濃厚なサービスを提供してます(♡) https://t.co/Zpv8gjF6it— ???CIMA???SOL?DAMIA (@cmcm4747) February 22, 2020
※新型コロナウイルスの流行以前に、CIMAさんが大阪・北新地のお店でやっていたパフォーマンス。
今までは女性のダンサーがああいう絡みを男性にしていたけど、「女性がそういうことをされてもいいんだ!」ってぼんやりと世の中に伝わってきているのかなって。
ただ、僕としてはあの動画にそんなに反響があると思わなくて。
あんなに喜ばれるとは(笑)
今なら、自分のショーや他の人のショーが終わった後に「お客様の中で誰がいちばん僕に関心が向いているかな」ってリサーチしています。どういう目で僕を見ているのかって。
そういう人を見つけてアクションを起こすのにチャレンジしています。
シーズンが変われば、何を意識するかも変わってきますが。
勇気を出して声をかけてくれたファンには答えたいし、その気持ちや行動って僕にとってプレゼントなんですよね。もらったモノに対しては、もらった以上にお返ししたい。
話しかけてよかったなって思ってもらえるように、ありがとうにありがとうを返したいんです。
さっきも言ったように、お客様は「エンタメ慣れ」していて、飽きがきているんですよね。僕が今やっていることもトレンドになりつつあって、そのうち飽きがくる。
そのことを加味して、もっと先のことを見ていろいろ考えないとなって思っています。
メンズポールダンスユニットを結成。「想像させる」のもエンタメ
大阪でもそういうイメージは持たれるんですが、関東だと「あいつはゲイ」って決めつけが強いですね。関東で活躍している方の8~9割がゲイの方なので。
あと、メタトロンキューブは男2人のペアでやっているので、ゲイカップルのパフォーマーなんだなって思われていました。
住み分けがあるので、そのせいで見に行きたくてもいけないのかも。
LGBT向けのイベントにすれば、そういった方々も来やすいのかもしれません。
最高な時間やった。。
2人で初めて作ったショーを
最高の晴れ舞台で披露して
終わってから2人で歓喜して
本当に本当に楽しい時間やった
見てくださった皆さんありがとう⭐︎メタトロンキューブこれからも
爆進していきます#メタトロンキューブ#fpn15_3#ファープレーンナイト#ポールダンス pic.twitter.com/sb5QL09eAr— ???CIMA???SOL?DAMIA (@cmcm4747) February 9, 2020
僕はダブルスを組んだ先のヴィジョンとか全然なかったんですよね。
でも東京のイベントに出たことで、東京のポールダンス界の質感に触れたり、出会いが広がったりして。(関西の)外でやることに対する可能性に気付きました。
そこから1年かけて東京に通って学びましたね。
僕の考えなんですけど……ペアで出るとなった時に、ゲイカップルでなかったとしても、恋愛感情とか入ることがあるじゃないですか。
(自分たちのショーを)ビジネスとして売り込むためにパフォーマンスするとなると、変な感情が邪魔して上手くいかないところが多いと思うんです。
僕らはペアでやってるけど、カップルでも何でもないから、どうやったらお客さんにウケるかとかビジネス的に考えていますが……感情が入っちゃうと難しいんじゃないかなって思います。
ビジネスとしてそういう風に見せようとしたことは?
でも、そういう発言をしなくても、僕と彼のペアってなぜかカップルに見られちゃうんですよ(笑)
見た目的に麗しいお二人ですもんね。
ファンにとっても、「あれどうなんだろう、カップルなのかな」って想像するのが楽しいだろうし。
違うって分かっちゃうと残念だろうから、考えさせるっていうのを意識しています。
ドキッとする話題も飛び出した「CIMA 解体新書Vol.1」
エロいだけではない、エンタメとしてのポールダンスの魅力に触れることができました。
8月11日公開のvol.2では、CIMAさんの努力の裏側やショービジネスマンとしての考え方をクローズアップしていきます。
<取材・文> 倉本菜生
<写真提供> CIMA
大学院で歴史学を研究しつつフリーライターとして活動中。研究してない研究者代表。
福岡県出身。関西に魂を売ってしまった女。
小難しい話はもちろん、美味しいもの・可愛いもの・キレイなものが好き。
「日本全国、隣町」を掲げるアクティブ人間。