「ポールダンスで世界一を目指す」高みに向かうダンサーの思考をのぞき見!

ブランディング

メンズポールダンサーとして活躍するCIMAさんの魅力に迫る連載第2回目。
前回の記事では、ポールダンサーに転身したきっかけやポールダンス界の裏側について語っていただきました。
今回は、CIMAさんのパフォーマーとしての考えや「ビジネスマン」としての側面にクローズアップしていきます。

「ゲイだと思われていた」男性ポールダンサー・CIMAが明かすポールダンスの世界

ポールダンスを始めて半年で大会に入賞

全日本ポールスポーツ選手権大会にて。右端がCIMAさん。

倉本菜生
倉本菜生
ポールを始めて半年で全日本ポールスポーツ選手権大会でアマチュアカテゴリ3位に入賞されていますが、出場しようと思ったきっかけは何だったんですか?
僕は世界一になるためにポールを始めたんですよ。
倉本菜生
倉本菜生
世界一! 志(こころざし)の高さがすごい!
出場した時も、アマチュアで一位を獲るつもりでいました。

 

とりあえずチャレンジしていって、自分が今どれくらいの実力で、どれくらいの幅で進めるかって逆算して……どの期間でやろうかなってゴール設定を決めていたから、それに向けての計算でしたね。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
成功している人はゴールから逆算して考えるってよく言いますもんね。
でもそれ、意味分からなかったんですよ!(笑)
本にもよく書いてあるけど、ゴールから逆算するってどういうことなのか分からなくて……やりたいことが見つかって初めて逆算できましたね。
お金を稼ぎたいとか、目標がある人は逆算も早いのかな。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
結果として3位入賞でしたが、その時の感想はいかがでしたか?
1位になれなかったことで、自分の実力を客観視できましたね。

 

それまではポールを始めてから半年で周りも見えていなかったし、自分がどう上手くてどう下手なのかも客観的に見れていなかったんです。

 

その時は嬉しいとか感じなかったんですが、後になって落ち着いて考えた時に、「3位って嬉しいな」って整理ができました。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
自分を客観的に見るって常に意識されているんですか?
常には無理ですね。
自分を客観視するってホントに難しいと思うんです。何かしら主観が入っちゃうので。

 

客観的に見ているつもりになって確認しつつ、客観的に見てくれている人に対してすり合わせることはあります。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
私はライターなので、自分が書いた記事を友人に読んでもらって読者としてどう感じたかを聞くことがあるんですが、練習風景の動画をご友人に見てもらうことってありますか?
友人に見てもらうのも結構難しいんですよね。「友人としての主観」が入るじゃないですか。

 

ポールしていない人から見れば全部がすごいし、している人が見たら陥りがちな指摘の仕方ってあると思うんですよ。

 

それだとクリエイティブなものにならないし、固執した考えになっちゃうんですよね。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
ポールしている人が陥りがちな指摘とは?
膝が曲がっているとか、足先が伸びていないとか。
そういう細かいところって、最後の仕上げだと思うんです。

僕は過程であったり流れであったり、完成形じゃなくて過程を意識していますね。

 

妹がいるんですが、妹も結構指摘してくれます。
僕は自分が良いと思ったものに寄りがちなので、彼女が指摘して戻してくれる。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
そういう存在が身近にいるのは有難いですよね。
僕は元々すっごいセンスが悪くて、今日履いてきた靴も客観的に見たらおかしいんですよ(笑)この服にこれ合わせる? みたいな。

 

「僕はこういうの好きだけど、客観的に見たら違うのでいい」って尖りすぎた部分を妹が一回戻してくれるんです。

CIMAさん
CIMAさん

「ポールを触っていない時間も学んでいる」パフォーマーとしての姿勢

倉本菜生
倉本菜生
今はスタジオでレッスンを受けていないそうですが、普段の自主練はどんな感じでされているんですか?
それもシーズンによって違うんですが……今何が足りないか、何を伸ばしたくて、伸ばしたいものに対して足りないものを補うって形ですね。

 

今ならフィジカル的なものかな。
体幹的な部分の総合的なレベルアップを目指していて、スタジオを借りて練習しています。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
自宅にポールは設置しないんですか?
祖父の家に設置したことはあるんですが、環境が整っていないから集中しにくかったんです。

それならお金を払ってスタジオを借りたほうが集中しやすいし、ダラダラせずにやれますね。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
一日の練習量は?
やっても2時間くらいを週2~4日。
その時間きっちり練習する感じです。

 

アスリートやスポーツ選手なら週4~5日で調整しながらやるべきだと思うんですが、僕はアスリートじゃなくてパフォーマーだから、いろんなものを見て感性を受けて表現しないといけない。

ポールを触っている時間は短くても、学んでいる時間は多いですね。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
前半のインタビューでも、舞台や映画などいろんなものに触れているとおっしゃっていましたよね。
可能性を追いかける意味では、映画を観ている時間も僕は練習だと思っています。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
ポールスポーツってアスリートに近いと思うんですが、アスリートとパフォーマーの違いって何だと思いますか?
アーティストは自分が出したオリジナルモノが評価される。アスリートは記録や結果との戦い。
パフォーマーは矛先がその時々で変わっていく。
その違いですね。

 

今日のショーは良かったとか、今日は盛り上がったとか。パフォーマーは毎回同じことをしても盛り上がるわけではないので、結果の出し方が違うんですよね。

 

アスリートは対自分。パフォーマーは対お客さん。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
普段の練習中に気を付けていることは?
ケガって油断した時にするので、「今調子に乗り出したな」って思ったらいったんペースを落として、ケガしないように心を戻しています。

 

あとは技を急がないことですね。
自分のレベルに合った部分をしっかりやること。
「今はポールにこれくらい慣れてきたから、練習もこれくらいにしよう」みたいな。焦らずにやっています。

 

対照的に相方は焦っていろんなことをして、いろんなケガをしているんで(笑)

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
ポールダンスをやっていて楽しいと感じる瞬間は?
いっぱいありますけど、集中している時間、入り込んでいる時間がいちばん楽しいですね。
練習している時の、ちょうど技が出来そうになっている感じがいちばん楽しいです。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
逆に苦しいとかつらいと感じたことはありますか?
ポールダンス自体で苦しいと感じたことはないですね。
今年に入って相方が地元に帰ってしまった時は、別れが辛くて悲しかったです。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
インスピレーションや影響を受けたものってありますか?。
去年の春くらいに、メンズポールダンサーの小源寺亮太さんの写真を見たんですよ。
ポールをしている写真じゃなくて、ただスッと立っている写真を見て、「この人めちゃくちゃすごいな」って。

亮太さんのビジュアルの良さやオーラ、カメラ越しに伝わるものにすごくインスピレーションを受けました。

CIMAさん
CIMAさん

ポールダンサーの小源寺亮太さん(公式HPより)

倉本菜生
倉本菜生
メタトロンでやっている時は何を参考にしているんですか?
真似をしたチームは無くて、その時々でテーマを決めるんですよ。

「こういうテイストならお前のほうが向いてるよね」「こういうものを取り入れるなら僕のほうが向いてるよね」って分担して役割を決めています。

それぞれで調べてきて、アイデアを出し合う感じで。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
今までどんなテイストのものを取り入れてきましたか?
笑いであったり、感動を与えるものであったり……想像を掻き立てる感じで、結ばれないカップルのようなものをやってみたり。
普通にかっこいいものもやるし、いろんなことをやっています。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
アニメやマンガ、映画から引っ張ってくる感じですか?
僕はそうですね。
相方はストリップ系が好きなので、エロいものを引っ張ってきます(笑)
CIMAさん
CIMAさん

セミナーやコンサルに200万。自己投資をしてビジネスを学ぶ

倉本菜生
倉本菜生
話は変わりますが、メンズのパフォーマー集団を作る予定だそうですね。
ポールダンスだけじゃない、総合エンターテイメント集団を作る予定です。
女性が見ても興奮するし、男性が見てもワクワクする、そんなチームを作りたくて。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
メンバーはどうやって集めたんですか?
「こういうのをやりたい!」と各方面のパフォーマーに声をかけたら、協力してくれる人たちが出てきたんです。

アメリカの男性パフォーマーによる総合エンターテイメントを参考にして、日本のテイストに変えて発信していこうと考えています。

 

今までは、ポールはポール、バトンはバトンと住み分けがされていた。
その垣根を取り払って、「パフォーマンス」と一括りにした状態で発信していきたいんです。

 

今集まっているメンバーの中には、各ジャンルでの世界チャンピオンやアジアチャンピオンがいます。
あとは売り出し方ですね。

CIMAさん
CIMAさん

倉本菜生
倉本菜生
それはCIMAさんがプロデュースを?
僕とメンバーのひとりと、あとは妹に手伝ってもらって考えていきます。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
CIMAさんはパフォーマンス活動に関してすごくビジネス的な考えを持っていますよね。
ビジネスやマーケティングの勉強はずっとやってきました。本をたくさん読んだり、個人コンサルを付けたり……2年くらい真面目にやりましたね。

2年間で本は100冊読んで、セミナー参加やコンサルに200万くらい使いました。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
自己投資がすごいですね!
自分ではそんなにお金を使っていないほうだと思っています(笑)もっと自己投資している人もいるので。
CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
高校や大学でビジネス関連の勉強をしたことは?
スポーツ系の大学に行っていたので、ビジネスとはまったく関係無いことを勉強していました。

 

ダンスが好きだったので進学したんですが、大学に行きながら練習して、夜はコンビニでバイトして、朝になったらまた大学に行って……ってサイクルで生活していて。

それを続けていたある日、「なんで俺、学校に行ってんだろ。何のためにバイトやってるんだろう。ダンスやりたいだけなのにな」ってなっちゃったんです。

 

それならコンビニで時給で働くよりも、自分のアイディアや時間が対価に変わるような勉強をしよう、そういう仕事をしようって思いました。

 

そこから自分の人生がシフトチェンジしていきましたね。

CIMAさん
CIMAさん
倉本菜生
倉本菜生
今はSNSを中心に「学校・大学不要論」が主張されていますが、CIMAさん自身は大学に行った意味はありましたか?
僕自身の考えなので、全員にあてはまることではないと思いますが……学校で学んだことをどう活かすか、ですね。

 

僕は大学に行くことによって、自分の価値をお金に換えようって気付いたんですよ。
学校に行ったからこそ経験して気付けたので、行く意味はあったと思います。
高校を出てそのまま就職していたら、何も気付けず今の生活はなかったと思うので。

 

どう捉えるかも含めて、僕は意味があったと思います。

CIMAさん
CIMAさん

 

パフォーマーとしてだけでなく、ビジネスマンとしての考えも持ちながら活動しているCIMAさん。
8月15日公開の連載最終回では、「自分を変える」と決めたエピソードや、「自分を変えたい」と思っている人へのメッセージをお送りします!

「コンプレックスは武器になる」ポールダンサーCIMAが語る”自分の変え方”