「世にも奇妙な物語」が大好きだ!
そんな人は多いでしょう。私もそのひとりです。
今回は、「世にも奇妙な物語好きは絶対ハマる!」サクッと読める短編集を紹介したいと思います。
短編集はちょっとした時間に1話だけ読むのに適しています。ぜひ通勤・通学のお供選びに役立ててもらえたら嬉しいです。
あらすじについてはほとんど触れていないので、ネタバレが嫌という方も安心して読んでください。
安部公房 壁ーSカルマ氏の犯罪
本を普段読まない人も、安部公房の名は聞き覚えがあるかもしれません。
「棒になった男」も世にも奇妙な物語的でとんでもなくおもしろいのですが、今回紹介するのは「壁―S・カルマ氏の犯罪」。芥川賞を受賞した作品です。
私は文学を専門に学んだ者ではないので、あまり大それたことは言えませんが……。
自分と他者の境界線。アイデンティティとも言える物を壁に見立てて書かれた作品だと思っています。
作品が書かれたのは戦後ですが、現代人でも考えさせられるお話です。
短編集なので、物語同士の繋がりはありません。しかし、一つひとつのお話は独立しているのに、全体を通してみると一つの物語としても感じとれる作りになっています。
筒井康隆 最後の喫煙者
筒井康隆さんで一番有名な作品といえば、『時をかける少女』でしょう。
それしか知らない人には、爽やかなお話を書く作家だと思われていますが、実はまったく違います。
筒井さんの主戦場は、ブラックユーモア溢れるSFです。
短編集『最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1』には、「最後の喫煙者」以外に「問題外科」というエログロなお話も入っています。
どれもおもしろく、不可思議で奇妙なお話が盛りだくさんですが、エログロが苦手な人は「問題外科」だけ読み飛ばしちゃってもOK。
表題作の「最後の喫煙者」は、地球上で最後の喫煙者になった小説家が、それまでに起きた嫌煙権運動を振り返るストーリー。
最近は喫煙者にとって肩身の狭い社会ですが、30年以上前からこのような発想ができるのは天才的だと思いますね。
そしてなんと、実際に世にも奇妙な物語で放送されたようです。
私の目に狂いがないと証明されましたね!
曽根圭介 鼻
有名な作家さんが続いたので、ここ15年の間にデビューして活躍している作家さんをご紹介します。
曽根圭介さんの『鼻』は、不思議系というよりホラー系に寄った短編集です。
ホラーといってもオバケ的な怖さではなく、後味の悪いなんだかお腹がゾワゾワする感じのお話がつまっています。
短編集のなかに「あっ!」と思わせるお話もあるので、泣けるお話が好きな方にもおすすめです。
個人的に最近ジワジワきてる作家さんのひとりでもあります。
あなたも奇妙な世界に没頭しましょう
読書は最新技術のVRみたいなものだと思っています。
ドラマやアニメは映像や音で演出してくるので、ほんとに見るぞ! と集中しないと、没頭できない気がします。
読書なら脳をフルに使って文字から場面を思い浮かべるので、没頭度は映像作品より高いと思うのです。
いきなり「なに読書観を語っているんだ!」って感じですよね(笑)
でも紹介した短編集は、それだけ奇妙な世界に入り込めるんです。
他にも星新一さんや小松左京さん、中島らもさんなどおすすめしたい人はいますが、あまり多くなると迷いを産ませてしまうのでここらへんにしておきます!
では、みなさん、奇妙な世界に入りきって戻ってこられなくならないように気をつけてくださいね。
フリーライターや派遣看護師、塾講師などをしながら生きている人。
元ひもだったりもする。