新型コロナで飲み屋街はゴーストタウンに 京都の繁華街は今どうなっているのか

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新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に、全国へと緊急事態宣言が発令されてから、約半月が経とうとしている。

緊急事態宣言発令前の3月30日、東京都の小池都知事は都民に対し外出自粛を要請し、「バーやナイトクラブなど接待を伴う飲食店などに行くことは、当面お控えいただきたい」と強調した。
この発言は都内だけでなく地方の歓楽街にも波紋を呼ぶこととなる。

小池都知事の発言を皮切りに、各都道府県において「接客を伴う飲食店」に対する休業要請が続々と出され、飲み屋街は窮地に立たされた。

緊急事態宣言の発令と拡大、再三にわたる強い自粛・休業要請を経た今、地方の繁華街はどのような状況にあるのか

筆者は現在ライター業の傍ら、京都・祇園のホステスとしても勤務している。
週に1~2日ほど出勤していたスナックは、コロナの影響を受け現在休業中だ。
最後の出勤は3月28日。その時点で京都一の繁華街である祇園は静まり返っていた。
あれから約1ヵ月、街はどうなっているのだろうか。

人が消えた街

金曜日の午後21時。平時であれば若者を中心に賑わう木屋町は、真っ暗で閑散としていた。

木屋町通のコンビニや酒屋は軒並み休業中

四条通に面した入り口付近には居酒屋のキャッチが数人いたものの、木屋町通に入ってしまえば人影はほとんど見当たらない。
数人の通行人と、キャバクラや風俗店の客引きらしき人間がひとりふたり歩いている程度だ。

京都・木屋町では有名なキャバクラ営業の「MONDEビル」も休業中だ

筆者が驚いたのは、見回りの警官が至る所に居たことだ。
普段でも警官による巡回は行われているものの、これほどまでに増員されている光景は初めて見る。
歌舞伎町でも先日警察官による巡回、帰宅のアナウンスが話題となったが、京都でも同じ現象が起こっているのだろうか。

木屋町から少し東に行った祇園北部エリア。
こちらも木屋町と同じように人がいないゴーストタウンと化している。

ビル看板の明かりは付いているものの、営業している店舗があるのかは不明だ。

呼び込みの人間も全くいない。
4月18日に祇園エリアへ訪れた際は、ちらほらと客引きの女性が立っていたが、今週の時点ではゼロになっている。

報道では取り上げられない「繁華街の喫茶店」

ニュースなどでは、居酒屋を代表とした飲食店の休業騒動が連日取り上げられている。
その中で、「飲食店」と一括りにされて見落とされている店がある。喫茶店だ。

歌舞伎町、祇園、大阪ミナミ、中洲など、繁華街には朝まで開いている喫茶店が多い。
今どきのおしゃれなカフェではなく、昔ながらの純喫茶として営業している。
その利用客の大半が「夜の店」の従業員と客だ。

よしもと祇園花月の横にある「喫茶コロラド」

コロナ禍以前は、近場で働くホステスや祇園花月に出入りする人々で賑わっていた

こうした喫茶店は、「夜の店」が休業になれば利用する人間がいなくなり、店を閉めるしかない。
筆者がスナック出勤時の行きつけとして通っている喫茶店のママ(Aさん)に連絡を取り、電話越しに話を聞いた。

※写真はイメージ

 

4月に入ってからしばらくはウチも店を開けてたよ。
ウチに来るのは9割が周りのお店の女の子とお客さんとか、ホストと女の子とか、同業者ばっかりだからね。
観光客とかもたまーに来るけど、ほとんどがどこかのお店の子とか、お客さんだよ。
あとはスカウトの子とか、とにかく祇園で働く人ね。

 

Aさんが経営する喫茶店は祇園の路地裏にあり、営業時間は19時から午前3時まで。
周りにはスナックやラウンジ、ホストクラブなどが多く、筆者が利用する時も店内は同業者ばかりだ。

 

周りのお店が営業しているうちは、ウチも開けようかってマスターと話してたの。
けどさ、(4月)10日を過ぎた頃からかな、周りのお店もバタバタ閉め始めちゃって。
お客さん誰も来なくなっちゃったし、開けてる意味がないなって思ってさ。
臨時休業にしちゃった。
再開は……今のところ分からないねぇ。

 

深いため息をつくAさん。夫と一緒に喫茶店経営をしているが、夫には別に本職があり、喫茶店は彼女の趣味としてやっている。
夫婦揃って60代だが、喫茶店を開いたのは20代の頃。
バブル期に貯めた貯金と、夫の本職から入ってくるお金で、臨時休業でも金銭的な影響はないという。

 

でも、他のお店は喫茶店一本でやってきてるところが多いから、だいぶキツイんじゃないの?
貸付で補償受けられるって言っても、お金借りてまで店を続けたいかって言ったら……どうなのかな。
祇園界隈の喫茶店は昔からやってるところばっかりだし、どこのママもマスターもみんな歳だからね。
無理して続けるよりは、たたんじゃったほうが楽、って人も多いと思うよ。

 

一般人や観光客ではなく、「その街で働いている人間」に支えられている店は多い。
繁華街の喫茶店もまさにそのひとつであり、一般の飲食店のようにテイクアウト対応などでの生き残り戦略は通用しない。

緊急事態宣言が解除された後も自粛要請は続く可能性が高く、繁華街に人々の活気が戻るのはいつになるか全く見通しが立たない状況だ。
コロナ収束後、繁華街は果たして息をしているのか――。
夜の街で働く人間のひとりとして、今後も注視していきたい。

 

写真・執筆:倉本菜生