こんにちは、べたです!
2020年、令和の時代。
新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴う自粛生活など、今までにない暮らしを迫られている私たち。
オンラインで様々なサービスが簡単に利用できるようになり、目まぐるしい変化が日々起きています。
そんな変わりゆく時代・社会の波に飲み込まれ、人は「当たり前だけど、大切なコト」を忘れてしまいがちです。
今よりもっと不便でモノが無かった時代、人々は何を思い、大切にして生きてきたのか。
今回は映画『この世界の片隅に』を参考に、私たちが「今」必要な生き方を改めて考えていきましょう。
もくじ
『この世界の片隅に』あらすじ
「昭和20年、広島・呉。わたしは ここで 生きている」
絵を描くのが好きなおっとりとした少女「すず」は、広島県・呉の夫のもとに嫁つぎ新しい生活を始める。変わりゆく環境に、苦労しながらも少しずつ馴染んでいく「すず」。
しかし戦時下では、大切な命や生活が一瞬にして失われてしまう。
彼女はその時代に何を思い、生きていくのか。
こうの史代による原作マンガを、映画監督・片渕須直が映像化したアニメーション映画。
2016年11月12日の公開以降、クチコミで徐々に評判が広がり、日本のアニメ映画史上最長となる1133日のロングラン記録を打ち立てた作品です。
従来の「戦争アニメ・原爆映画」とは一線を画すストーリーや演出が見どころ。
2019年には追加シーンを加えた『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されました。
戦局とともに徐々に変わっていく生活、忍び寄る戦争の影。
その中で強く生きていこうとするすずさんの姿に胸を打たれます。
映画から感じる今と昔。現代人に必要なものは?
『この世界の片隅に』は1934年(昭和9年)から1945年(昭和20年)の広島・呉市が舞台となっています。
今から約75年前の日本は、今とどんな違いがあるのでしょうか。
仕事も恋愛も、自由には選べない。
当時の日本は、仕事も恋愛も自由に選べない社会でした。
男性であれば軍に徴兵され、女性は家事や育児が役目とされていた時代。
お見合い結婚が当たり前で、恋愛結婚はごく稀でした。
自分が望んでいなくても、運命を受け入れて生きていく必要があったんですね。
そんな状況でも主人公のすずさんは、持ち前の明るさを発揮して乗り越えようとします。
周りよりもおっとりとしている性格のすずさん。
見知らぬ土地に嫁いで苦労しながらも、周りとのコミュニケーションを通して環境の変化を少しづつ受け入れ、感謝して愛していきます。
現代人は何でも自由に選択できます。
好きな仕事ができて、好きな人と結婚できて、好きなコトができる。
それなのに、環境の変化や周囲の人々に対する「余裕や感謝の気持ち」が薄らいでいる気がします。
自由が広がったからこそ、「自分と他人の違い」を受け入れるのが難しくなってしまったのかもしれません。
自分が苦しい状況のときに他人が幸せそうにしていると、妬ましくなりませんか?
特に今のコロナ禍だと、自由にGoToしている人を見て「私は行けないのに……」と苦々しく思ってしまう人もいますよね。
でも、もし私たちがすずと同じ時代に生きていたら、もっと苦しい現実が待っていたはず。
心に余裕がなくなって周りへの感謝を忘れてしまいそうな時は、『この世界の片隅に』を観てみてください。
無くしかけていた「今への感謝」をきっと取り戻せるはずです。
生きるためにはコミュニケーションが大事
生活していくためには、周囲の人とのコミュニケーションが必要不可欠。
それは戦時中も現代でも変わりません。
戦時中は協調性がとても重視されていました。
「隣組」と呼ばれる地域のコミュニティがあり、集団の中で生きていけない人は孤立していたんです。
この「隣組」のシステムは、『この世界の片隅に』でも頻繁に描かれています。
戦時中に制度化された、町内化の下部組織。町内の5軒から10軒の世帯を一組とした。
団結や地方自治の進行を促し、戦時下の住民動員や物資の供出、統制物の配給、空襲での防空活動などを行った。また、思想統制や住民同士の相互監視の役目も担っていた。(引用元:Wikipedia)
ひとりになりたい時や、放っておいてほしい時があっても、集団の輪から抜けられない。
でもこのシステムがあったからこそ、当時の人々は生き抜いてこられました。
とにかく物が不足していた戦時中。
限りある食料で家族の食事をまかない、着古した衣服を有効活用してやりくりする必要がありました。
そこで何よりも必要なのはコミュニケーション。
ネットが無かった時代、生きるために必要な情報・知恵は他人伝えが当たり前でした。
すずさんも「隣組」の人たちから知恵をもらい、家計をやりくりしようと奮闘します。
普段からコミュニケーションを取り合い、皆で支え合い協力して乗り越えていく。
ご近所付き合いが希薄になってしまった今では、中々見られない光景です。
だからこそ近所で助け合うことってなかなか無いですよね。
今はパソコン・スマホ越しに、いつでもどこでも会話ができる便利な世の中になりました。
これから先、科学がもっと発達すると、AIやロボットが生活の中であふれていくでしょう。
でも、ネット越しでは得られない体験や感情もあります。
たまには人と直接会って話したり、声色や表情で人の温かさを感じたり。
ネットで何でもできる世の中だからこそ、生身のコミュニケーションがかけがえのないものになっていくはずです。
このコロナで家族や友人と会えなくなって、リアルでの交流のありがたさを知った人も多そう。
自分が見た景色を残せるのは絵や言葉だけ
スマホやカメラが普及している現代。
綺麗なモノや映えるモノは、すぐに写真に撮って思い出として残せます。
「いつ・どこで・誰と・何をした」という思い出をたくさん残せるのが当たり前の時代です。
しかし、昭和の日本でカメラは高級品。誰でも買える物ではありませんでした。
幼少時代から絵を描くのが好きだったすずさん。
写真の代わりに、見た風景を絵で残していきます。
風景を見ながら、時には記憶を思い出しながら描いていく彼女。
空襲で戦闘機が飛んでいる光景を見て、「もし今ここに絵の具があったら……」と呟きます。
その場で形に残せないものほど、より鮮やかに心に焼き付くのかもしれません。
今私たちは、何よりも先にスマホを手に持ち、写真や動画に残して周りの人達とシェアします。
だけど、写真に残してシェアして終わりになっていませんか?
たまにはスマホをしまって、すずさんのように目に焼き付けたり、言葉や絵で残してみたりすると、違った思い出の残り方になるかもしれませんよ。
もしも「すずさん」が現代にいたら
もしも『この世界の片隅に』の主人公・すずさんが令和で生きていたなら、どんな風に暮らしていたんでしょうか?
優しくて世話焼きなすずさんだから、SNSを見て困っている友人を助けに行ったかもしれない。
絵はiPadで描いてインスタにあげて、バズってたかもしれない。
現代にいたらどうなるだろう? とアレコレ考えてみたものの、戦時中じゃないとできなかった経験や想いがあったのかなと気付きました。
戦争の真っただ中の生活で、あっという間に大切なものが無くなってしまう世界。
そんな世界で一分一秒を大切に過ごすことが、どんなに大切で難しいものなのか、平和な世界で生きる私たちには想像もできないですよね。
だけど、時代が変わっても大切にすべきものは変わりません。
人との繋がりや、自分が生きている一瞬の「今」。
変化のスピードが早い今だからこそ、オフラインでの関わり方や過ごし方を大事にしていく時なんだと思います。
今見てる景色は、一瞬で過ぎ去っていく大切な経験なんだ。
そんな大切なことを思い出させてくれる作品でした。
現代社会での生き方に迷ったら『この世界の片隅に』を観て、すずさんの生き方を参考にしてみてください。
踊ったり、ゲームしたり、人間観察をするのが好きな24歳社会人。
ライターを始め、どこにいても出来る仕事をしながら25歳に日本一周を目指す。
嫌なことがあっても、寝たら全て忘れます。本当に忘れます。