「盗めるアート展」開催も、一瞬にして盗まれメルカリ転売へ。盗まれたのは企画自体?

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先日ナナミルにて開催情報をお伝えした「盗めるアート展」

7月10日午前0時から「Same ギャラリー」(東京都品川区)にて開催予定だったものの、定刻前に展示品が盗まれ尽くす事態となりました。

「盗めるアート展」いったい何が起こったのか

現場に居合わせたTwitterユーザーたちによると、当日の現場は大混乱を極めたようです。

  • 開場の30分前から人が押し寄せる。
  • 会場周辺は住宅街。混乱を避けるために、主催者側が少し早めにオープンしようとしたところ、会場内へと人が雪崩れ込む事態に。
  • 我先にと盗みを行う人々。
  • あまりの騒ぎに警察が出動。
  • 時間通り0時に来た人が見たのは、もぬけの殻となった会場だった……。

 

始まる前からクライマックス!

倉本菜生
倉本菜生
ごめんなさい、正直わたしは大爆笑しました。

どんなアートが展示されていたの?

オープン直後に全ての作品が盗まれてしまった「盗めるアート展」。
どんな作品が展示されていたのでしょうか。

レセプションに参加したTwitterユーザーの方から写真を提供していただきました。

@osushi12061215さん提供写真

@osushi12061215さん提供写真

このほかにも、「日めくりカレンダーアート」や、「ギャラリーに持ってくる途中で盗まれてしまったアート」など、さまざまな作品が展示されていたようです。

 

「盗めるアート展」の盗品がメルカリへ

「盗めるアート展」の騒動から約1時間後には、フリマアプリ・メルカリにて「盗品」が続々と転売されました。

なかには2万円以上の高額出品も。

この騒動後に開設されたTwitterアカウント、盗めるアート展泥棒 ではメルカリの転売情報が随時ツイートされています。

そして驚くべきことに、メルカリ内では「盗めるアート展」のキーワード・ハッシュタグを使って、偽物や無関係の商品まで出品されている始末。

倉本菜生
倉本菜生
もう、何が何だか分からない。

「盗めるアート展」とは何だったのか?

大混乱と予想外の結果を招いた今回のイベント。
いま一度、その開催趣旨を見てみましょう。

盗んでよいものとして作品が展示される時、アーティストはどのような作品を展示するのか? 鑑賞者と作品の関係性はどうなるのか? 芸術作品に常にまとわりつく、ギャラリーや美術館という守られた展示空間との既存の関係性が壊された空間で、現代における芸術作品のあり様を違った角度から捉え直す機会となったら幸いです。「盗めるアート展」公式HPより)
  • 守られた展示空間と作品、鑑賞者の関係性を破壊。
  • 現代における芸術作品のあり様を違った角度から捉え直す。

本展のポイントは上記2点でした。

倉本菜生
倉本菜生
関係がぶっ壊れた結果、この騒動が起きたのはある意味で大正解だと思う。

ネット上の反応を見てみましょう。

「『盗めるアート展』という企画・概念自体を盗むものだった」

前述したように、メルカリ内にて「盗めるアート展」を謳った偽物の販売や、まったく無関係な商品の出品が続出しています。

今回の騒動をきっかけに付加価値が付いたといえる「盗めるアート展」。
その価値を利用してお金儲けをしようとする出品者(=泥棒)。

実は企画自体が「盗める展示品」だった可能性もありますね……?

「諸々の現象を含めて、『展示』だったのでは」

既存の空間が破壊された結果、来場者は「鑑賞者」ではなく「転売屋」として現れました。

そして人々が暴徒化し、アート作品は「芸術品」ではなく「換金可能な物質」へと変化。

あまりの光景に虚無を感じる人もいれば、転売屋を追跡監視する謎のアカウントも登場。

一連の流れそのものが、インターネットを通じて完成した展示物といえます。

「盗まれたのは私たちの時間」

会場に雪崩れ込む人々の後ろで、入場できず立ちすくんでいた人。

ルールを守って遊びに来たのに、盗むのはおろか作品を見ることすらできなかった人。

さらにその後ろや周りで騒動を見ていた野次馬。

SNSで「盗めるアート展」の騒動を追っていた人。

これを書いている私。

そして今、この記事を読んでいるアナタ。

「盗めるアート展」とは、関わった人すべての時間を盗むものだったのかもしれません。

「盗めるアート展」の今後にも注目

「主催者側の見立てが失敗した」「現代美術の敗北」と、冷静な意見も多い今回のイベント。
このまま一時のコンテンツとして消費されていくのか、はたまたバージョンアップして再開催するのか。

今後について主催者からアナウンスは出ていませんが、ルール強化や会場のキャパ上げなど対策を取って、第2回開催を目指してほしいですね。