「あなたの本職は?」と聞かれると少し悩んでしまう。
私の働き方は、いわゆる「複業」スタイルだ。
「え?副業でしょ?」と思ったみなさん、副業と複業は似ているけど少し違う。
副業は、本職以外に別の仕事をする形。
複業は、複数の本職を持つスタイルだ。
私は今、看護師と家庭教師とライターの3業務でご飯を食べている。
「副業だ!」「フリーランスだ!」「好きなことで生きよう!」と自由な働き方が叫ばれているせいか、職業について話しをすると「凄いね」などと言われる。
しかし私としては、複業を選んだというより選ばざるを得なかった、という気持ちだ。
本業ひとつだけを継続して続けることができなかったのだ。
働き方の多様化が進む世の中でなければ、「自分はまともにひとつのことをやりきれない人間だ」と殻にこもり、ニート生活をしていただろう。
なので、私も働き方の多様化というものに救われたひとりなのだと感じる。
同じように「仕事が続かない」「まともに働けない」と悩んでいる方が、「こんな奴でも生きていけてるんだ」と思えるように……
今日は、私がなぜ複業という道に進んだのかを少しお話したい。
もくじ
変わらない毎日とセクハラに押しつぶされ失敗
私は二度、定職を辞めている。
一度目は、新卒で就職した大きな病院。
セクハラや人間関係の影響もあるが、いちばん大きな原因は変わらない日々だったと思う。
毎日仕事をして、遊ぶ暇もほとんどない。なんだか嫌気がさしてきたある日、仕事へ行くことができなくなった。
出勤しようと家を出ても、途中で吐き気がして家へ走り帰る。
そんな日が続き、職場と相談し休業。精神安定剤を服用することでかなり落ち着いてきた。
元気が出てくると「仕事辞めたいけど……」から「こんな仕事辞めてやらあ!」に変わっていき……
後先のことは何も考えず、病院に退職届を突き付けていた。
変わる日々を求めたのに安定を目指し失敗する
何も考えずに離職した私。当然だが、無職になってしまった。
これはヤバイと思い、個人で家庭教師をしている知り合いに頭を下げて生徒を紹介してもらい、家庭教師を始めた。
家庭教師は楽しかった。不登校気味の生徒を外に連れ出し、一緒にテニスをしたり。
好き勝手やっていたが、親御さんや生徒との関係は良好だったと思う。
順調で楽しい毎日を手に入れたおかげか、その頃に彼女ができた。
当時の私は仕事もうまくいき幸せの絶頂だったのだろう。
あとは彼女を幸せにしてハッピーエンド……そう考えていたのだ。
彼女が私に求めたのは、安定だった。
定職に着き、安定した収入を望んだのだ。
変わらない毎日に押しつぶされ辞めたはずが、彼女の望みを聞き、病院へ戻った。
しかし、たった3ヵ月で離職。
家庭教師も再就職の際に別の人へ生徒を譲ったため、また無職に……。
フルタイムの派遣で食いつなぐも、それも続かず彼女に養われるヒモ状態。
この時支えてくれた彼女には、頭があがらない。
ブログに出会いライターに
二度の定職失敗と派遣が続けられないことから、完全に外で仕事をすることを諦めてしまった私は、在宅で稼げる手段を探すようになった。
「ブログは低コストで稼げる!」といったネットの情報を鵜吞みにし、ブログを開始する。
もともと文字を書くのが苦ではなく、文章を読むのが好きな私には合っており、楽しく行うことができた。
だが、ブログはすぐに稼げるものではない。
書くのは楽しくできても、子どものお小遣い程度しか稼げない。
さすがにヤバイと感じ、お金を求めてブログと並行してライターを始めることに。
これまたネットの知識のみでのスタートだ。
フリーランスにも定職にも向いていないことに気付く。
ライターとして仕事が取れない時期もあったが、看護師という資格や様々な経験を買ってくれるクライアントのおかげで、それなりに生活ができるようになってきた。
だがここで、私のダメな部分が出てきてしまう。
仕事に圧迫されたくない気持ちから、請け負う継続案件を最小限にしていたのだ。
現在でも継続案件は2サイトだけで、月5~6本程度。これだけでは正直食べていけない。
そのため単発で仕事を取っていたのだが、金銭管理やスケジュール管理が苦手なため収入が安定しない。
「実はフリーランスに向いていないのでは?」と気づく。
「フリーランスに向いている人」などのワードで検索すると、大抵のサイトに
・オンオフの切り替えがうまい
・スケジュール能力が高い
・金銭管理能力が高い
などが挙げられている。
定職もフリーランスも向いていない。八方塞がりになり、どうすればいいのか分からなくなってしまった。
看護師も家庭教師もライターも好きだった
看護師として定職に就くか、ライターとしてフリーでやっていくか相当悩んだ結果。
看護師も家庭教師もライターも、仕事自体は嫌いじゃなかったと気づいた。
人間関係や、同じことの繰り返しの日々、収入が安定しないことが原因であり、仕事は楽しくやれていたのだ。
では、どうするか?
良いとこ取りをしよう。
看護師で無理しない程度に収入の安定を取りつつ、ライターとして自分が書きたいと思った記事で稼ぐ。家庭教師は人手が足りない時だけ、趣味程度にやらせてもらう。
そうして、現在の看護師兼ライター時々家庭教師という働き方が確立された。
結局生きていければ働き方なんてどうでもいい
もしかしたら看護師のみライターのみで働いている方にとっては、私は異端な存在で、中途半端な奴なのかもしれない。
しかし、私はこうして生きていけているのだ。
生きていくのに働き方が偉いだのなんだのは関係ない。
本業一筋で頑張っている人を私は否定しない。
副業・複業と新しい働き方が出てくるなかで、昔からある形を否定してしまえば、それは多様化ではなくなってしまう。元ある形も含めて、選択肢があるからこそ多様化なのだ。
生活するにはお金がいる世の中、生きることは働くことだとも言える。
冒頭でも伝えたが、複業という働き方がもっと浸透していなければ、私は生きる(働く)ことができなかった。
だが、現在は色んな生き方(働き方)の選択肢がある。幸せなことだ。
だから、みなさんも自分に合った働き方をみつけてほしいと感じる。
フリーライターや派遣看護師、塾講師などをしながら生きている人。
元ひもだったりもする。