皆さん、バンギャという言葉はご存じでしょうか?
バンギャとは、バンドギャルズの略称。ヴィジュアル系(以下、V系)の女性ファンを指す言葉です。
14歳でV系にハマり、バンギャ人生を突き進んだ私。
大学生の頃はゴスロリやパンク姿で通学していました。

バンギャ全盛期の頃は色々と黒歴史を生み出してきましたが、いちばん強烈なエピソードがあります。
何を隠そう、あの某大型掲示板で叩かれまくったのです。
常連スレが私の叩きで埋まった

分かる人には分かるあそこ
8~9年ほど前のお話。
私は某V系バンドのファンで、ライブやインストアイベント(以下、インスト)に半通~全通していました。
※半通……ツアー公演を半分ほど参加すること。全通……ツアー公演全部に参加すること。
そして某大型掲示板には、「〇〇(バンド名)常連スレ☆★」と名付けられたスレッドがあり、そこでは日夜、ファンによる常連叩きが行われていたわけですが……。
気付いた時には、常連スレが私の叩きで埋まっていました。
叩きの内容は?
大昔の話なので、具体的な叩きコメント(誹謗中傷コメント)は覚えていませんが……。
- 「存在と発言が痛い。目障り」
- 「メンバーに覚えられて調子に乗ってる」
- 「目立つから邪魔」
書き込み内容の8割がこのような内容でした。
残り2割は、事実無根のもの。
「アイツって風俗嬢だろ?」とまで言われていました。
当時キャバ嬢をやっていて、普通の学生よりも裕福だったので、お金を持っている=風俗嬢だ!と思われたのでしょう。
Twitterの発言が痛かった

当時のツイートを載せようと思ったものの、あまりのアレさに断念
当時はTwitterが流行りだした頃。
メディアリテラシーの「メ」の字も無かった私は、オープンアカウントで自撮りを載せて、痛いことを呟きまくっていました。
9割くらいが痛々しいバンドへの愛。それを全世界に向けて発信していたのです。
そして当時、男装喫茶のスタッフとしても働いていた私。
職場でのキャラが「中二病ナルシスト」だったので、ネットでの一人称も「俺」を貫いていました。
どう考えても痛い。痛すぎる。
※男装喫茶とは、女性スタッフが男装して接客するカフェ。メイド喫茶の亜種。客層は10代~30代の女性がメイン。

中二病ナルシスト俺キャラを貫いていた頃
しばらくして男装喫茶用のアカウントを作り、プライベート用のアカウントでは一人称が「私・あたし」に戻りましたが……それでも鍵はかけず。
この痛々しさが故に、常連スレよりも先に「痛いバンギャを晒すスレ」で晒されました。
バンドマンのコスプレをしたガチ恋バンギャだった
見出しの情報が渋滞していますね。
大丈夫ですか? 付いてこれていますか?
私は今、書いていて凄く居た堪れないです。
私が常連スレで叩かれまくった最たる理由がコレです。
コスプレをしてグループ行動
当時通っていたバンドで、ヴォーカルのコスプレをしていました。
ライブやインストにはコスプレ姿で行くことが多く、メンバー側にも認知されるように。
メンバーさんたちから、「いつもありがとう!」「今日も凄いね!」「クオリティ高い!!」と褒めていただき、有頂天になっていました。
※V系界隈には昔からメンバーコスプレの文化があり、コスプレ姿でライブに行くこと自体は普通。

当時のコスプレ姿
Twitterのアイコンをコスプレ姿にして、そのアカウントでメンバーへリプを送っていたので、メンバー側も私のアカウントを把握していました(その把握されているアカウントで痛々しい愛を叫んでいた)。
長くバンドに通っていると、友達もできてグループ行動するように。
友人たちとネットやリアルでわちゃわちゃと楽しんでいましたが……。
悪目立ちしすぎて、グループごと晒されて叩かれました。
※名誉の為に言っておくと、迷惑行為や一般常識から外れたことは一切していません。ただただ、発言と行動が痛かっただけです。

当時の仲間たち(一部)

ガチ恋を拗らせていた
最初は純粋なファンで、憧れからヴォーカルのコスプレをしていましたが、気付けば立派なガチ恋バンギャに。
ここで不思議なポイントが。
普通、好きな男性アイドルやバンドマンがいたら、その人の好みになろうとしますよね?
ジャニーズファンがその良い例だと思います。
しかし、バンギャは「その人そのもの」になろうとしてしまうんです。
髪型や服装を真似したり……。仕草を真似したり……。
例に漏れず私も、「もっとヴォーカルに近付きたい! 愛してるから同じになりたい!」とコスプレを極めていきました。

極め切ったコスプレ
ガチ恋な気持ちをTwitterでもほのめかす有様。
ヴォーカルはもちろん、他メンバーも私がガチ恋なことを認識していたので、ファンサービスはめちゃくちゃ良かったです。
インストに行くと、私が喋りかけるより先にヴォーカルさんから「ナオちゃん! 昨日のライブであのコスプレしてたよね?」と声をかけられるように。ガチ恋歓喜の瞬間です。
コスプレして目立っている&メンバーに認知されている&発言が痛すぎるのトリプルコンボで、めったくそに有ること無いこと掲示板に書きこまれていました。
叩かれても気にしなかった理由

身内ノリが激しく、常にこのテンションだった
散々ネット上で「存在が痛すぎる」だの何だの書かれた私ですが、平気でライブやインストに行っていました。
叩かれていると知らなかったんです。
知らなければ落ち込む必要もありませんし、コスプレを辞める理由も無ければ、Twitterの発言を自重することもありません。
掲示板やスレッドの存在は以前から知っていましたが、コスプレを始めた時に決めたのです。
「コスプレなんてやったら、絶対に叩かれる。だから死んでも見ない」
この決意が功を奏し、バンドの活動中は楽しくライブ参戦&ガチ恋コスプレを謳歌していました。
すべてを知ったのは、バンドが活動休止してから。
活動休止中にメンバーが何をしているのか(特にヴォーカルは何をしているのか)、気になってバンドスレを検索したが最後……自分や友人がボロカスに叩かれているのを発見してしまいました。
「痛いバンギャスレ」に晒されていると知ったのもこの時。
もしバンドの活動中にこの事実を知っていたら、きっと地の底まで落ち込んで、人の目が怖くなって、ライブに行けなくなっていたと思います。
知らなかったから幸せでいられて、すべてが良い思い出となりました。

後日談

あれから8年後。痛いバンギャでも記者になれる。
バンドの活動休止から2年ほど経った頃。
痛々しさを極めた私も、ほんの少しだけマトモに。
バンドの活動休止後、ヴォーカルさんはソロプロジェクトを始動。
そのライブに、バンド時代のベースさんがプライベートで遊びに来ていました。
一般ファンを装って声をかけてみると……。
「久しぶりだね~」
「え、覚えてくれてるんですか?」
「忘れるわけないじゃん(笑)」
そりゃそうだ。
痛々しいガチ恋バンギャは、記憶に焼き付いていたようです。
真人間になった倉本、ここぞとばかりに謝りました。
「あの頃は色々痛くて……迷惑かけてすみませんでした」
すると、ベースさんはにっこり笑って、こっそり耳打ちしてくれました。
「大丈夫。痛い人はもっといるよ」
全国のバンギャたち安心しろ! とんでもなく痛いバンギャはたくさんいるみたいだ!!
なんだかんだありましたが、今となっては「あの頃あれだけ周りを気にせず好きに楽しめてよかったな~」と思っています。
今もゆるーくバンギャ活動していますが、あの頃と同じことができるかと聞かれると……怖くてできません。
若い頃だからこそ、できることもある。
今の若いバンギャちゃんたちも、一般常識を守って周りに迷惑をかけない程度に楽しんでください!
